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「劣化する日本」を誰が立て直すのか

もはや「アジアの盟主」ではない日本

第四点--。アジア外交の閉塞状況です。  日中のトップが、具体的な話を、腹を割ってするということが、この三年半ほど行われていません。さらにまた“ポスト小泉”の次の総理大臣が、靖国参拝します、という問題になってくると、話はまったく前に進まなくなります。今年に入ってから自民党の幹部が訪中をしていろいろ打診していますが、日中首脳会談というものは、なかなか簡単にはいかない。  中国側から見れば、来年七月の参院選で自民党が負けて、少なくとも中国と対話をし、総理大臣である限り靖国参拝をしないようなリーダーが出るまでは、じっくり腰を据えていよう、と。中国は今や“余裕の中国”ですから。資金調達力についてもかなり中国自身が持つようになっていますし、アメリカ側からのバックアップ体制もでき上がってきている。エネルギーの問題も、ロシアを介在して、シベリアの石油・ガス田、そしてまたイランとの接点、中南米ベネズエラ等、あるいはアフリカのスーダン等など、中国は着実にエネルギー世界戦略を持ち得ていますし、日中懸案の春曉油田等の自力開発もあります。そういうことを考えていくと、日本がどのようなことを考えてアジアと経済交流をしていくかということは、極めて重要な側面になってくる。  もちろん、韓国までもが向こう側に回り、朝鮮半島が一つになるような形でもって、拉致問題を抱えている北朝鮮と歩調をともにするような状況になったのも、「竹島問題」が大きく影響を及ぼしているでしょう。しかし、この「竹島問題」も含めて、日本と韓国の関係はもともと友好的なものであったということを考えれば、必ずしも悲観的になる必要はないと私は思っています。日朝の問題と日韓の問題、これを本気で、どういうふうに解決するかという視点をしっかり持てば、いずれ好転する、と。  さらに、最近は多く語られてこないけれども、「北方領土」の問題についても同様でしょう。樺太、サハリンの問題はどうであれ、北方領土四島の返還、あるいは便宜的に二島返還の問題等々を真剣に考えるということについても、二十一世紀の日本の外交では、どうも、中国、ロシア、そして朝鮮半島の韓国、北朝鮮の四カ国と日本の間に、明らかに溝が生じてきてしまっている。向こう三軒両隣りという言葉がありますが、その正面にある中国、そしてロシア、そして朝鮮半島という三つの地域、四カ国が完全に横を向いている状況ですから、今は。  アメリカとの関係も、もちろん日米同盟基軸であるといっても、さまざまな点でギクシャクが生じていますし……。日本が本当にアジアの中の外交をどう進めていくのか。独自の外交の路線をしっかり持てるならともかく、それも持ち得ずにバカの一つ覚えのように「日米同盟」「日米同盟」と、日米同盟基軸の中に浸っているだけでは、何の解決策も見出すことはできないでしょう。  最近の調査にあるように、二〇三〇年代、少なくとも三十年後には、中国の人口をインドの人口が抜くというデータも出始めてきています。中国は一人っ子政策で、対するインドはどんどん産みなさいのヒンズー教国ですから、このまま行けばどうしたってそうなってしまう。このことを考えれば、今の世界の人口が六五億を超え、三十年後には九〇億近くに達する段階で、インドと中国の人口だけでも三〇数億になり、世界の人口の3分の1以上が中国とインドで占められるということになります。いやでも、そうなる。  そしてインドの潜在能力です。九九=八十一という算数の暗算式が、インドでは、twenty twenty four-hundred、「20×20=400」というところまで来ているということですから、数学が苦手の私などはこれだけでもうシュンとしちゃう。  このようなことを考えていくと、日本がアジアの中の一員としてどのように対応するかということが、日本の未来にとっては極めて大切なことであるにもかかわらず、その姿もいっこうに見えてきていません。  人口減少を迎えている国家や社会がGDPを引き上げることは事実上不可能である、というのが世界の常識です。日本が人口減少時代を迎え今、GDPの五一五兆円をどのように維持していくのか。あるいはシュリンクという縮み現象の中で、どのように日本の一人当たりのパーキャピタを維持しながら、日本の経済の勢いを保っていくのか。すべてがバラバラの状態で政治や経済や外交が進んでいるというのが現状である、と私には思えてしかたがありません。

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