種類株式の活用方法について、教えてください。

 新会社法においては、様々な特徴を持っている複数の種類の株式を発行することが可能になります。この「種類株式」をうまく活用できれば、事業承継に役立てることが可能になるでしょう。

<解説>
(1) 配当優先・無議決権株式の活用
 会社法においては、非公開会社において、発行制限なしに配当優先・無議決権株式を発行することが可能になります。このような株式を発行する目的のためには、株主総会の特別決議(※)によって、その内容を定款に定めなければなりません。

※ 特別決議・・・議決権の過半数を有している株主が出席しまして、出席株主の議決権の2/3を超えている場合によって、決議されることになります。

後継者に議決権を集中させることが可能になります。
後継者であります長男は、議決権を100パーセント保有することになりまして、会社の実権を握ることが可能になります。
・ 次男につきましては、議決権がない代わりに配当を優先的に受けることが可能になるため、不満を抑えることが可能になります。

☆ 従業員持株会の株式を配当優先・無議決権株式に変更することになります。
・ 結果として、オーナーの議決権割合が2/3を超えることになります。
(注)既存の株式の一部を変更する場合においては、株主総会の特別決議に加えまして、全株主の同意が必要になるでしょう。

(2) 黄金株の活用
 黄金株とは、取締役会や株主総会の決議事項に対しまして、一定の拒否権が認められた種類株式になります。

☆ 株式移転後もオーナーの影響力を残すことが可能になります。
後継者の独断専行経営を防止することができます。

(3) 相続人などに対する売渡請求権の活用
 相続や合併などによりまして、その会社の譲渡制限株式を取得した者に対しまして、その株式を、発行会社に売り渡すことを請求する旨を定款で定めることが可能になります。

【注意点】
(1) 売渡請求期限
 相続等が存在したことを知った日から1年以内に、株主総会の特別決議を経まして、請求しなければなりません。

(2) 売買価格
 売買価格については、当事者間の協議によることになりますが、不調の場合に関しましては、売渡請求日から20日以内に限りまして、裁判所に価格決定の申し立てが可能になります。

(3) 財源規制
 分配可能額を超えてしまう買取は不可能になります。

☆ 株主の分散を防止することが可能になります。
・事業運営上、好ましくない者への株式の移転を防止することができ、経営を安定させることが可能になります。