贈与税の納税猶予にかかっている事業承継税制の概要について、説明してください。

 贈与税にかかっている自社株式の納税猶予制度につきましては、贈与者については、役員を退任する必要があると考えられているため、その制度の適用を受けながらも、引き続き会社に残りたい考えがある場合については、特別顧問、相談役等の立場で参加する方法を検討する必要があると考えられているでしょう。
 先代経営者保有の対象株式の全部を一括で、なおかつ贈与によって取得した場合につきましては、猶予対象株式等の贈与にかかっている贈与税の全額の納税が猶予されることになるでしょう。(相続前から後継者が既に保有されていた議決権株式等を含めまして、発行済議決権株式総数の2/3に達するまでの部分)。【2009年4月1日以降の贈与から適用が可能となるでしょう。】

[適用対象者の要件]
 既に後継者が所有している分も含めまして、発行済議決権株式総数の2/3まで適用が可能になるでしょう。

[一括贈与の場合]
・ 上記要件のほか、役員を退任すること。
[相続の場合]
・ 会社の代表者であったこと。
・ 先代経営者と同族関係者で発行済議決権株式総数の50パーセント超の株式を保有し、かつ同族内で筆頭株主であった場合。

後継者
[相続の場合]
・ 先代経営者の親族であること。
後継者と同族関係者で発行済議決権株式総数の50パーセント超の株式を保有し、かつ同族内で筆頭株主となる場合、(1つの会社で適用されるのは1人。)
・ 会社の代表者であること。
[一括贈与の場合]
・ 上記要件のほか、20歳以上、かつ役員就任から3年以上経過していなければならない。
相続時精算課税制度の併用
後継者が贈与税の納税猶予制度の適用を受けている場合であっても、後継者を含む推定相続人は、相続時精算課税制度の利用が可能である。

(例)
発行済議決権株式総数の100パーセントを一括贈与した場合

発行済議決権株式総数の3分の2→贈与税の納税猶予

先代経営者→一括贈与→後継者
発行済議決権株式総数の3分の1→相続時精算課税制度の利用が可能であるでしょう。