Q.取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度について教えてください。

A.後継者が相続か遺贈によって自社株式を取得した場合、その後継者の納税が80%猶予されます(相続前より後継者が既に有していた議決権株式等を含めて発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分)。

 この納税猶予制度の適用を受けるためには、次の要件に該当する必要があります。

1.先代経営者(被相続人)の要件
・会社の代表者であったこと
・被相続人と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%を超える株式を有し、かつ、同族内で筆頭株主であったこと

2.会社の要件
・非上場会社であること
・中小企業基本法の中小企業者であること(特例有限会社、持分会社も対象となります。)
・資産管理会社に当てはまらないこと    等
 上記の「資産管理会社」というのは、現預金・有価証券・不動産等の合計額が総資産の70%以上である会社と、これらの運用収入の合計額が総収入金額の75%以上である会社のことです。ただし、事業実態のある会社は除外されます。なお、資産管理会社について、この制度の適用を受けるための要件が、平成27年1月1日以降に相続か遺贈によって取得する非上場株式等に係る相続税につき、見直されています。
 対象となる中小企業者の範囲については、次の通りです。
・製造業、建設業、運輸業その他の業種については、資本金3億円以下か従業員数300人以下
・製造業のうちゴム製品製造業については、資本金3億円以下か従業員数900人以下
・卸売業については、資本金1億円以下か従業員数100人以下
・小売業については、資本金5,000万円以下か従業員数50人以下
・サービス業については、資本金5,000万円以下か従業員数100人以下
・サービス業のうちソフトウェア業か情報処理サービス業については、資本金3億円以下か従業員数300人以下
・サービス業のうち旅館業については、資本金5,000万円以下か従業員数200人以下

3.後継者(相続人)の要件
・会社の代表者であること
・後継者と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%を超える株式を有し、かつ、同族内で筆頭株主となること(一つの会社につき適用される人は1人です)
・先代経営者の親族であること
 上記の「親族」というのは、配偶者、6親等内の血族(甥、姪等)、3親等内の姻族(娘婿等)のことです。ただし、平成27年1月1日以降に相続か遺贈によって取得する非上場株式等に係る相続税については、「先代経営者の親族であること」という要件は廃止されています。

4.事業継続要件
 5年間にわたる事業継続。具体的には、次のことが必要です。
・代表者であること
・相続した対象株式を継続して保有すること
・毎年、相続開始時の雇用の8割以上を維持すること
 ただし、上記の「毎年、相続開始時の雇用の8割以上」は平成27年1月1日以降に相続か遺贈によって取得する非上場株式等に係る相続税については「平均で、相続開始時の雇用の8割以上」となっています。

 相続開始後に、先代経営者、会社及び後継者の要件に該当していることについての経済産業大臣の認定を受ける必要があります。そして、上記の5年間については、毎年、その後は3年ごとに所轄税務署長への届出が必要です。
また、この5年間の事業継続の後には、対象株式を継続保有していれば、次に掲げる場合に相続税の猶予税額が免除されます。
・後継者が死去した場合
・対象株式を次の後継者に一括贈与した場合    等