Q.医師や歯科医師ではない理事の中から、医療法人の理事長を選出することはできますか?

A.医師又は歯科医師である理事の中から医療法人の理事長を選出します。ただし、都道府県知事の認可を受けることで、医師又は歯科医師でない理事の中から理事長を選出することが可能となります。

1.理事長の役割
医療法人の理事の中で1人は理事長となり、医療法人を代表して業務の統括を行わなければなりません。
 理事会における理事の権限は、他の理事と同様です。

2.理事長に求められる能力
理事長は、対外的に、また社内的に法人を代表し、医療法人を運営することが職務であり、医療機関の経営者として統率する必要があります。ゆえに、理事長には、医療機関の経営者としての能力も不可欠です。
医師又は歯科医師は医療についての知識が深いといえますので、理事長は医師又は歯科医師とするのが原則ですが、理事長には経営管理能力も必要です。経営管理能力や、医療に関する深い知識と理解を有していれば、医師や歯科医師ではなくても理事長に適していえると思われます。
医療機関の経営管理者の育成が大いに必要とされている時代といえるでしょう。

3.都道府県知事の認可
理事長は、医師又は歯科医師である理事の中から選出しますが、都道府県知事の認可を受ければ、医師又は歯科医師ではない理事の中から選出することが可能です(医療法第46条の3第1項)。次に掲げる場合には、この認可を受けることができます。
(1)理事長が死亡し、又は重度の傷病により理事長の職務を継続することが不可能となった際に、その子女が、医科又は歯科大学(医学部又は歯学部)在学中、又は卒業後に臨床研修その他の研修を終えるまでの間、医師又は歯科医師でない配偶者等が理事長に就任しようとする場合
 (2)次のいずれかに該当する医療法人
  ア.特定医療法人又は社会医療法人
  イ.地域医療支援病院を経営している医療法人
  ウ.公益財団法人日本医療機能評価機構が行う病院機能評価による認定を受けた医療機関を経営している医療法人
 (3)候補者の経歴、理事会構成等を総合的に勘案し、適正かつ安定的な法人運営を損なう恐れがないと都道府県知事が認めた医療法人

4.都道府県知事への届出と登記
 理事長に変更(重任を含みます)があれば、都道府県知事に「役員変更届」を提出しなければなりません。
 また、理事長の氏名・住所は、登記事項となっています。