A.ＭＳ法人の設立については、所得の分散が可能となる等のメリットがある一方、事務コストが高くなる恐れがある等のデメリットもあります。
1.ＭＳ法人とは
個人開業医や医療法人は、医療法で業務が制限され、営利活動は禁じられています。そのため、医療法で制限されている業務を補う目的で、株式会社や合同会社を設立することがあり、そのような会社をＭＳ(メディカルサービス)法人といいます。
2.ＭＳ法人設立のメリット
医療法人の経営を補う法人であるＭＳ法人を活用することで営利活動が可能となり(医療法による規制を受けないことから、多様な業務ができます)、所得の分散等のメリットを享受できます。
・業務委託料等を支払うことで業務の分散ができ、結果的に所得の分散もできます。
・医療と医療行為以外との区別がはっきりするため、経営状況を把握しやすくなります。
・保険請求等の医療事務をＭＳ法人業務とすることで、診療に専念することが可能です。
・医薬品購入等の資金計画から解放されます。
・不動産をＭＳ法人に譲渡すること等によって、相続対策等もできます。
・ＭＳ法人から家族等に給与を支払うことができます。
・利益の配当ができます。
3.ＭＳ法人設立のデメリット
ＭＳ法人の設立には、次のようなデメリットがあります。
・事務手続きが煩雑になることから、事務コストが高くなる恐れがあります。
・ＭＳ法人が黒字になれば、事業税が増えます。
・ＭＳ法人との取引に合理性及び妥当性がないと、取引自体を否認される恐れがあります。
4.ＭＳ法人の活用事例
ＭＳ法人が病院から請け負う業務として、一般的には次のようなものが挙げられます。
・診療報酬請求事務
・医院の受付・窓口業務
・医院の会計事務
・医療機器・医療設備・車両等のリース
・医薬品・医療材料・医療機器・医療器具等の仕入れ・販売・在庫管理
・経営管理業務
・経営計画・資金計画の作成管理指導
・医院の設備管理・保守
・清掃・衛生業務
・給食事務や食堂の経営
・歯科技工の請負
・土地建物の賃貸・管理
5.ＭＳ法人設立の流れ
ＭＳ法人を設立する際の流れは、次のようになります。
基本事項の決定→定款の作成・認証→資本金の払込み→設立登記申請→設立完了