Q.医療法人は、本来業務以外に、附帯業務という業務を実施することが可能なのですか?

A.医療法人は、本来業務に差し支えのない範囲で、定款又は寄附行為の定めるところによって、本来業務と関連する業務(附帯業務)を実施することが可能です。

1.本来業務
医療法人は、病院、医師若しくは歯科医師が常勤する診療所又は介護老人保健施設の開設を目的として設立される法人です(医療法第39条)。ゆえに、病院、診療所又は介護老人保健施設の運営が、医療法人の本来業務です。

2.附帯業務
医療法人は、本来業務に差し支えのない範囲で、定款又は寄附行為の定めるところによって、次の業務の全部又は一部を実施することが可能です(医療法第42条)。
(1)医療関係者の養成又は再教育
(2)医学又は歯学に関する研究所の設置
(3)医療法第39条第1項に定める診療所以外の診療所の開設
(4)疾病予防のために有酸素運動(継続的に酸素を摂取して全身持久力に関する生理機能の維持又は回復のためにする身体の運動をいう)をさせる施設であり、診療所が附置され、かつ、その職員、設備及び運営方法が厚生労働大臣の定める基準に適合するものの設置
(5)疾病予防のために温泉を利用させる施設であり、有酸素運動をする場所を有し、かつ、その職員、設備及び運営方法が厚生労働大臣の定める基準に適合するものの設置
(6)上記(1)から(5)までに掲げるもののほか、保健衛生に関する業務
(7)社会福祉法第2条第2項及び第3項の事業のうち厚生労働大臣が定めるものの実施
(8)老人福祉法第29条第1項に定める有料老人ホームの設置
上記(1)から(8)までの業務を附帯業務といいます。医療関係者の養成所の経営や、へき地診療所の経営等がその具体例といえます。
上記(6)の業務は、保健衛生上の観点から行政庁が行う規制の対象になるあらゆる業務というわけではありません。直接国民の保健衛生の向上を主な目的として実施される業務のことであり、具体的には介護職員養成研修事業(地方公共団体の指定を受けて実施するもの)や、難病患者等居宅生活支援事業(地方公共団体の委託を受けて実施するもの)等が挙げられます。
附帯業務に関しては、附帯業務を委託することや、本来業務を実施せずに附帯業務だけを実施することは、医療法人の運営上、適切ではないことになっています。