A.損金の額に算入できるものと個人的なものを明確に区別しておくことが重要です。
1.海外研修に要した費用
医療法人において、知識や技術の習得は上質の診察業務につながりますので、海外で開催される学会等に医師が参加することは大切です。海外出張や海外研修旅行に要した費用は、法人の業務に直接必要なものについては、旅費交通費や研修費等として損金の額に算入することができます。
しかし、直接必要でない費用については、出張者や旅行参加者の給与として扱うことになります。
2.業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行を併せて行ったとき
医療法人の業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行を併せて行ったときには、その海外渡航の際に支給する旅費を、それらの各旅行の期間の比率等によって按分し、医療法人の業務の遂行上必要と認められない旅行に係る部分の金額は、渡航者に対する給与とします。
ただし、海外渡航の直接の動機が学会や海外研修の業務の遂行であり、その海外渡航を機会に観光を併せて行ったなら、現地までの往復の旅費(その業務遂行の場所までのもののみです)については、按分せずに損金の額に算入することができます。そして、その往復の旅費を控除した残額について按分計算を行うこととなります(法基通9-7-9)。
2.海外慰安旅行に要した費用
海外慰安旅行に要した費用は、次に掲げる全ての要件に該当する場合にのみ、参加者の給与としてではなく、福利厚生費等として扱うことになります。
・外国における滞在日数が4泊5日以内であること。
・旅行の参加人数が全体の人数の半数以上(支店や工場ごとの場合には、職場ごとの人数の半数以上)であること。
・会社の負担分が10万円程度であること。(会社負担分が10万円で、従業員負担分がなくても構いません。)